焼き上がったパンを袋に詰めて販売の準備をする手元

パンの販売に必要な許可|自宅NGの理由とシェアキッチンで作る方法【2026年版】

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  • 2026/10/20

最終更新:2026年10月

パンを自分で焼いて売るには「菓子製造業」の営業許可が必要です(法令上、パンは「菓子」に含まれます)。許可は作る場所ごとに出るため、自宅の台所のままでは取れません。仕入れたパンを売るだけなら、製造の許可は要りません。

  • 手作りのパンをネットやマルシェで売りたいが、どんな許可が要るのか分からない
  • 自宅でパン屋を始められるのか、必要な資格は何かを知りたい
  • 許可を取る流れや手数料、袋に入れて売るときの表示を知りたい

この記事では、パンを売るときに要る許可の3つのパターン、自宅で作れない理由、菓子製造業の許可の取り方と手数料の例、必要な資格、食品表示、パンを作れる掲載施設を、法令(e-Gov)と自治体の公式情報で確認しながらまとめました。お菓子全般の販売についてはレンタルキッチンで作ったお菓子はネットやフリマで販売してOK?必要な許可と注意点で解説しています。

この記事の結論

  • パンを作って売るなら菓子製造業の許可。食品衛生法施行令で、菓子製造業は「菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業」とされています
  • 許可は作る施設に出ます。住居と区画された製造の場所が要るため、自宅の台所をそのまま使うことはできません
  • 仕入れた包装済みのパンを売るだけなら製造の許可は不要。届出が要るかは品物によるので保健所で確認します
  • 店内で食べてもらう(イートイン・カフェ)なら飲食店営業の許可が要ります
  • 許可を取るには施設ごとに食品衛生責任者を置きます。袋に入れて売るなら食品表示も必要です
  • 自分で工房を持たずに始めるなら、パンを作れるシェアキッチン・レンタルキッチンを使う方法があります

パンを作れるキッチンを探している方へ:sharekitchen.netでは、本格的なお菓子・パン作りに使えるキッチンや、商品を作って販売したい人向けのキッチン、東京・大阪のシェアキッチンを探せます。施設ページの「問い合わせ」から、パンの製造に使えるか、営業許可の扱いを直接確認できます。

パンを売るのに必要な許可は「作るか・仕入れるか」で決まる

食品衛生法では、食品の営業は許可が要る営業(第55条)、届出が要る営業(第57条)、どちらも要らない営業に分かれます。パンの販売は、自分で作るのか、仕入れて売るのか、店内で食べてもらうのかで、どれに当たるかが変わります。

パンの販売に必要な許可は3パターン:自分で焼いて売るなら菓子製造業の許可、仕入れて売るだけなら製造の許可は不要、店内で食べてもらうなら飲食店営業の許可
売り方 例 必要な手続き
自分で焼いて売る 手作りパンのネット販売、マルシェ出店、パン屋の開業 菓子製造業の許可(作る施設ごと)
仕入れて売るだけ 包装済みのパンを仕入れて店頭や車で売る 製造の許可は不要。届出が要るかは品物による(保健所で確認)
店内で食べてもらう イートインのあるパン屋、パンを出すカフェ 飲食店営業の許可

出典:食品衛生法 第55条・第57条/食品衛生法施行令 第35条(一 飲食店営業・十一 菓子製造業)・第35条の2(e-Gov法令検索)

図と表のとおり、自分でパンを焼いて売るなら、売る場所がネットでもマルシェでも、作る場所に菓子製造業の許可が要ると考えるのが出発点です。

パンは法令上「菓子」に入る

食品衛生法施行令 第35条では、許可が要る32の業種のひとつとして、菓子製造業を「菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業」と定めています。食パンも菓子パンも、パンを作って売る営業は菓子製造業として許可を取ります。

仕入れて売るだけのとき

自分で作らず、容器包装に入ったパンを仕入れて売るだけなら、製造の許可は要りません。施行令 第35条の2では、包装された食品のうち「冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれがないもの」の販売を、届出も要らない営業としています。パンがこれに当たるか、営業届出が要るかは中身や日持ちで変わるため、売る地域の保健所に確認しましょう。

店内で食べてもらうとき

施行令では、飲食店営業を「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業」としています。イートインのあるパン屋や、パンを出すカフェは飲食店営業の許可が要ります。焼いたパンを持ち帰りでも売る場合に、菓子製造業の許可も別に取るかどうかは、売り方を伝えたうえで保健所に確認してください。

自宅のキッチンでパンを作って売れる?

自宅の台所でパン生地をこねる様子
※イメージ画像

結論から言うと、ふだん使っている自宅の台所のままでは、パンを作って売ることはできません。許可のない場所で作ったパンを、ネットやフリマアプリ、マルシェで売ることもできません。

国の基準(食品衛生法施行規則 別表第十九)では、食品を扱う施設は「住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室又は場所が同一の建物にある場合、それらと区画されていること」とされています。さらに菓子製造業の施設には、別表第二十で次のような設備が求められます。

  • 原材料の保管・前処理、製品の製造・包装・保管をする室または場所
  • 製造する品目に応じて、解凍・調整・調合・整形・発酵・加熱・放冷・冷却などに必要な設備
  • 必要に応じて冷蔵・冷凍の設備

実際の施設基準は、この国の基準をもとに都道府県などが条例で決めています。手洗い設備やシンクの数などの細かい条件は、営業する地域の保健所で確認します。

自宅で始めたい場合の3つの選択肢

方法 向いている人 注意点
自宅に住居と区画した製造室をつくる 長く続ける前提で、改装できる家がある人 工事の前に保健所へ相談。賃貸は家主の了承が要る
店舗・工房を借りて許可を取る パン屋として店を構えたい人 内装工事と設備の費用がかかる
許可を取れるシェアキッチンを借りる 少量から試したい人、副業で始めたい人 許可の扱い(名義・種類)を施設に確認

はじめは小さく試したいなら、すでに設備がそろったシェアキッチンを借りる方法が、初期費用をおさえやすい選び方です。料金の目安はシェアキッチン・レンタルキッチンの料金相場|100施設の実データで紹介しています。

パン屋の開業・パン販売に必要な資格は「食品衛生責任者」

パンを作って売るのに、調理師や製菓衛生師の免許は必須ではありません。必要なのは、許可を受ける施設ごとに食品衛生責任者を1人置くことです(食品衛生法施行規則 別表第十七)。

食品衛生責任者になれるのは、調理師・製菓衛生師・栄養士などの資格を持つ人か、都道府県知事などが行う(または認める)講習会を受けた人です。資格がない人は講習会を受ければなれます。講習の日数・費用・申込み方法は食品衛生責任者の取り方|講習は1日6時間・費用と申込みの流れで詳しく解説しています。

やりたいこと 許可 人の資格
パンを作って売る 菓子製造業 食品衛生責任者(施設ごと)
店内で食べてもらう 飲食店営業 食品衛生責任者(施設ごと)
調理師・製菓衛生師の免許 — 必須ではない(持っていれば責任者になれる)

出典:食品衛生法施行規則 別表第十七(e-Gov法令検索)

菓子製造業の許可の取り方(流れ・書類・手数料)

許可は、施設の工事や契約をする前の事前相談から始めます。大田区は、事前相談→申請→施設の確認検査→許可書の交付という流れを案内していて、許可書は施設基準への適合が確認されてから約1週間後に交付されます。

パンを作って売るための菓子製造業の許可を取るまでの流れ:事前相談・申請・確認検査・許可書の交付
  1. 事前相談:設計図などを持って、工事を始める前に保健所へ相談します
  2. 申請:必要書類をそろえて申請します。窓口のほか、オンラインでもできます
  3. 確認検査:工事が終わったら、保健所の職員が施設を検査します。基準に合わない場合は、直してから再検査です
  4. 許可書の交付:基準に合っていることが確認されてから約1週間後です。許可が出るまでは営業できません

このように、許可を取るまでには相談・工事・検査の時間がかかります。販売を始めたい日から逆算して、早めに保健所へ相談しましょう。

申請に必要な書類の例

大田区が案内している固定店舗の書類は次のとおりです。

  • 営業許可申請書
  • 施設の構造及び設備を示す図面
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(まだ資格がない場合は誓約書)
  • 水質検査成績書(井戸水などを使う場合のみ)

手数料の例

手数料は自治体と業種で違います。たとえば名古屋市では、新規の申請手数料が菓子製造業14,000円、飲食店営業16,000円です(2026年10月時点・名古屋市の手数料表で確認)。申請する保健所のページで確認してください。

許可を取ったあとの衛生管理

食品衛生法施行規則 第66条の3では、パン(比較的短期間に消費されるものに限る)を製造する営業者を、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理(いわゆるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理)の対象に挙げています。衛生管理の計画を作り、実施したことを必要に応じて記録します。

袋に入れて売るなら食品表示が要る(ネット・マルシェ・委託販売)

袋や箱に入れたパンを売るときは、食品表示基準に沿ったラベルが必要です。食品表示基準 第3条では、容器包装に入れた加工食品を売るときに、名称・保存の方法・消費期限(または賞味期限)・原材料名・添加物・内容量・栄養成分の量と熱量・食品関連事業者の氏名と住所・製造所の所在地と製造者の氏名などを表示するよう定めています。

袋に入れて販売するパンの食品表示:名称・原材料名・添加物・アレルゲン・内容量・消費期限・保存の方法・製造者と製造所

図のように、中身(名称・原材料名・添加物・アレルゲン・内容量)、日付と保存、作った人の3つに分けて考えると、ラベルの抜けを防げます。

売り方 表示 根拠
作った場所でそのまま売る 原材料名・内容量・事業者の氏名と住所などは省略できる 食品表示基準 第5条
ネット・マルシェ・他の店に置いて売る 容器包装に入れたものは、第3条の項目を表示 食品表示基準 第3条
栄養成分の表示 消費税の免税事業者・小規模企業者が売るものなどは省略できる 食品表示基準 第3条・附則

出典:食品表示基準(平成27年内閣府令第10号・e-Gov法令検索)。自分の商品がどの特例に当たるかは、保健所などの食品表示の窓口で確認してください。

卵・乳・小麦などのアレルゲンは、パンの原材料に多く含まれます。シェアキッチンで作ってマルシェやネットで売る場合は「作った場所で売る」特例に当たらないため、ラベルの項目を一通りそろえておくと安心です。

シェアキッチンでパンを作って売る方法

シェアキッチンの業務用オーブンからパンの天板を取り出す様子
※イメージ画像

自分で工房を持たずに始めるなら、パンの製造に使えて、菓子製造業の許可の扱いがはっきりしているシェアキッチン・レンタルキッチンを探す方法があります。借りる前に、次の点を施設に確認しておきましょう。

  • 許可の種類と名義:菓子製造業の許可を施設が持っているのか、利用者が自分の名義で取るのか
  • パン用の設備:パン用のオーブン、発酵機(ホイロ)、ミキサー、冷凍冷蔵庫、作業台の広さ
  • 使える時間:早朝の仕込みや、発酵に合わせた長めの利用ができるか
  • 販売の扱い:施設で売れるか、持ち出してネットやマルシェで売ってよいか

製造に使える業務用キッチンの選び方はレンタル厨房の借り方|製造に使える業務用キッチン15選と選び方で詳しく紹介しています。

パンの製造に使える掲載施設の例

sharekitchen.netの掲載施設から、パンの製造に関する記載があるものを紹介します(2026年10月20日に施設ページで確認。料金・条件は変わることがあるため、施設ページと問い合わせで確認してください)。

施設 エリア 施設ページに書かれていること
パンとお菓子のシェアキッチンuni 東京都杉並区 パンオーブン・発酵機・パイローラー・パンラックなど。パン製造21,000円〜/月、菓子製造18,000円〜/月。7時〜23時を3時間枠で予約。駐車場なし
box factory natsu72 大阪市西成区 パン捏ね機・パン発酵機・ガスオーブン・電気オーブン・スタンドミキサー。@1,100円〜1,430円。貸出時間24時間
Colletto** Share Kitchen 大阪市北区 使える用途に「お菓子・パン・お惣菜の製造・販売」。製造・販売などの利用は食品衛生責任者などの資格者(書類提出)。@1,980円〜@2,420円。AM7:30〜24:00(AM1:00〜7:00は仕込み作業のみ)
food stand MeEATS 大阪市平野区 製菓製パン用の冷凍冷蔵庫・オーブンレンジ、3槽シンクのあるキッチン区画。8:00〜21:00。料金は問い合わせ

uniのようにパンの製造向けの月額プランがある施設もあれば、natsu72のように時間単位でパン用の機械を使える施設もあります。どの施設も、菓子製造業の許可で使えるか、作ったパンをどこで売れるかは施設によって違うため、問い合わせで確認してください。このほかの施設はお菓子・パン作りに使えるキッチン一覧から探せます。

移動販売・イベントでパンを売るとき

マルシェで袋入りのパンを並べて販売の準備をする様子
※イメージ画像

車でパンを売る、イベントに出店するといった売り方では、作る場所の許可(菓子製造業)とは別に、売る場所での手続きを確認します。包装したパンを車で売る場合の届出の考え方や、キッチンカーの許可は移動販売の許可の種類と取り方|キッチンカー・パン・弁当で違うで解説しています。

マルシェやイベントの出店では、主催者が出店者に許可証の写しなどの提出を求めることがあります。出店の条件は主催者に、売り方に応じた手続きは開催地の保健所に確認しましょう。シェアキッチンで営業許可を取るときの考え方はシェアキッチンの営業許可とは?取り方・必要書類・注意点もあわせてご覧ください。

この記事で参照した公的資料

確認日:2026年10月20日

よくある質問

自宅で焼いたパンをネットやフリマで売ってもいいですか?

許可のない自宅の台所で作ったパンは売れません。パンを作って売るには、住居と区画された製造の場所で菓子製造業の許可を取る必要があります。自宅を改装して製造室をつくるか、許可を取れるシェアキッチン・レンタルキッチンを使う方法があります。

パン屋の業種区分は何ですか?

パンを作って売る場合は「菓子製造業」です。食品衛生法施行令 第35条で、菓子製造業は「菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業」とされています。店内で食べてもらうなら飲食店営業の許可も関係します。

パン屋を開業するのに必要な資格は何ですか?

施設ごとに食品衛生責任者を1人置くことが必要です。調理師や製菓衛生師の免許は必須ではなく、資格がない人も講習会を受ければ食品衛生責任者になれます。

パンを仕入れて売るだけでも許可は要りますか?

製造の許可は要りません。包装されていて、冷蔵しなくても傷むおそれのない食品だけを売るなら届出も不要です(食品衛生法施行令 第35条の2)。パンがこれに当たるか、営業届出が要るかは、売る地域の保健所に確認してください。

菓子製造業の許可の手数料はいくらですか?

自治体によって違います。たとえば名古屋市では、新規の菓子製造業が14,000円です(2026年10月時点)。申請する保健所のページで確認してください。

まとめ

許可を取ったキッチンでパン作りを始める様子
※イメージ画像
  • パンを自分で焼いて売るなら菓子製造業の許可(パンは法令上「菓子」に入る)
  • 許可は作る施設に出る。住居と区画された場所が要るため、自宅の台所のままでは取れない
  • 仕入れて売るだけなら製造の許可は不要。届出の要否は保健所で確認。店内で食べてもらうなら飲食店営業
  • 施設ごとに食品衛生責任者を置く。調理師・製菓衛生師の免許は必須ではない
  • 許可は事前相談→申請→確認検査→許可書。袋に入れて売るなら食品表示も準備する
  • 工房を持たずに始めるなら、パンの製造に使えるシェアキッチンで、許可の扱い・設備・時間・販売の条件を確認する

売り方が決まったら、次はパンを作る場所選びです。施設ページの「問い合わせ」から、パンの製造に使えるか、営業許可の扱いを相談してみましょう。

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