飲食店の複数店舗展開、資金を抑えて行う方法は?
- まとめ
- シェアキッチン
- 2023/01/11
もっと多くの人に自分達の料理やスイーツを提供したいと考えるオーナーさんもいらっしゃると思います。しかしコロナやウクライナ情勢により高騰する原材料費や水道光熱費。特に初めて支店を出すという方にとっては出来る限り費用を抑えてリスクを下げたいもの。そこで飲食店の複数展開で資金を抑えて出店する方法をご紹介します。
目次
飲食店の複数展開
飲食業で1店舗目で一定の成功を収めたら「もっと多くの人に自分たちの自慢の逸品を味わってもらいたい」と考える方も多いと思います。そこで2店舗目、3店舗目と夢が膨らみむわけですがこうした飲食店の複数展開は、残念ながら現在非常に厳しい状況にあると言わざるを得ません。
1.光熱費の高騰
ロシアのウクライナ進行を受けて、ヨーロッパで天然ガスの供給が滞ったことを受け、世界的なエネルギー不足となりました。またコロナの影響で中国からの石炭の供給不足もあり、日本では天然ガスや石炭などを使った火力発電の占める割合は7割と非常に高いことから、それがそのまま電気代・ガス代の値上げに繋がっています。以前より2~3割ほど高くなっている状況です。
参考)外食、水道光熱費が重荷 – 日本経済新聞(外部サイト)
2.原材料費の高騰
飲食店のメニュー原材料として欠かせない「小麦」。パン、麺類、粉物、スイーツなど多くの料理で使われる小麦ですが、こちらもコロナの影響で中国やロシアの出荷が滞り、値上げが続いています。利益率が高い料理に使われることが多く、使う量も多い小麦の値上がりは、飲食店の利益に大きく影響を及ぼします。日清製粉では業務用の小麦粉の価格を2021年6月から3回に渡って値上げ。2022年10月は値上げを見送り2023年まで一旦据え置くとしていますが、こちらも以前より3~4割近く値上げされている状況です。
参考)日清製粉、業務用小麦粉を値上げ – 日本経済新聞(外部サイト)
3.人手不足
支店を構えるということは、新たに人を雇用する必要があります。
しかしコロナから回復を見せる飲食業界を悩ませているのが、人手不足。コロナ禍で削減した人員が別の仕事を始めており戻ってこないのです。そこで飲食業界は時給を上げるなどして少ない人材を奪い合う形に。人手不足から人件費の高騰に繋がっています。
参考)忘年会の飲食店予約 コロナ禍前の7割まで回復も人手不足が課題 – NHKニュース(外部サイト)
売価を値上げする企業も増えているが
このような社会情勢を受け、値上げに踏み切る飲食店も増えています。
飲食店リサーチが行った調査では、約8割の店が10%未満の値上げを行う意向があると回答しています。
参考)原材料費高騰に影響を受けた飲食店は90%超。約8割の店が10%未満の値上げを行う意向 – PRTIMES(外部サイト)
また2022年のクリスマスケーキでは100社中79社がケーキ代金を値上げ。
参考)クリスマスケーキは「100社中79社」が値上げ! 最多は「200円台」の値上げでも来年はさらに高くなる見込み? – ファイナンシャルフィールド(外部サイト)
一方で値上げをためらう飲食店の理由に、「売上や客数への影響」を挙げる声も少なくありません。
実際に値上げを行なった飲食店の中には業績が不振となった例もあります。
カレーチェーンの「CoCo壱番屋」では、主に原材料費の高騰を理由に年2回の値上げを実施。
その結果、営業利益が2022年度はコロナ前の2020年に対して6割程度に留まるとの報道もありました。
利益を確保するために値上げを行うと、そもそも客離れが起こり見込んだ利益自体が減ってしまったのです。
参考)「ココイチ」客足低調 年2回の値上げでも補えず – 日本経済新聞(外部サイト)
複数店舗を出店するともなれば出店のための初期費用も負担となります。
こうした様々なコストを全て売価の値上げだけで賄うのは現実的ではないでしょう。
複数店舗ではこれまで以上のコスト意識が必要
値上げにはこれまで原材料費の比率は飲食業では30%前後と言われてきました。
これを30%より下げることでこうしたコスト増加分を吸収しようとする動きもありますが、こうした対応は「サイレント値上げ」と呼ばれ、原材料費を削る=量や質が落ちることは消費者も敏感であり、嫌われる傾向にあります。
参考)内容量がコッソリ減る“ステルス値上げ”の見分け方。- Yahoo!ニュース(外部サイト)
何のコストを抑えるか?
飲食業で発生する主なコストは以下の通りです。
- 原材料費
- 人件費
- 水道光熱費
- 賃料、家賃
- 広告宣伝費
これまで”原材料費と人件費を合わせた費用(いわゆるFLコスト)を売上の60%にする”、というのが業界の定番とされていました。それに賃料10%・水道光熱費10%・広告宣伝費10%で、残った10%を利益、といった考え方です。ではコストを抑えて出店するためにはどのコストを削減すべきでしょうか?
人件費は削りにくい
経営コンサルタントであれば最も大きい費用から削減することを考えます。一般的な経営難に陥っている企業への対策としては当然のことですが、これを飲食業に当てはめると「原材料費」「人件費」のいずれかを削ることになります。しかし支店の出店にあたって当初から人を減らすことは不可能です。
原材料費も下げられない
原材料費を削減するために安いものに切り替えたとしても、その切り替えた商品が値上げされない保証はありません。実際に食品の値上げは全体の8割に及んでおり、年2回の値上げに踏み切るメーカーも。原材料費の削減はその場凌ぎです。そもそも支店出店とともに原材料を見直し質を落としたともなれば、客離れが起こり、本店・支店とも共倒れしかねません。
参考)止まらない値上げ、食料品の値上がり実感は8割超 – PR TIMES(外部サイト)
家賃と広告費を抑えよう
そのため支店出店にあたっては、可能な限り家賃を抑えることが重要です。現在入居している家賃を下げることは事実上不可能ですが、新規に出店する際に安い家賃で入居できれば非常にメリットがあります。しかし安い家賃の場所では立地が極端に悪かったり、建物自体に瑕疵があることも。そういったものがない場合でも敷金・礼金・仲介手数料、そして入居後の改装費用・看板・照明など費用も発生します。
コストを意識して支店を出店しても、それなりにまとまった費用が発生します。
そこで出店を行う前に、テスト販売を検討してはどうでしょうか。
複数店舗展開の前のテスト販売
「今の店舗だけでは売上が上限」「もっと多くのお客様に召し上がってもらいたい」「別の地域でも営業してみたい」
そのための支店出店ですが、環境は厳しく、複数店舗運営においてはさらにコスト感覚を慎重に行う必要があります。
そこでおすすめなのが、「テスト販売」です。
別の場所でも自店舗の料理や商品が魅力的なのか?まずは試しにテストを行い、その結果を見て本格的な支店を検討するというやり方です。
1.催事・イベントへの出店
ショッピングモールやデパート、イベントなどへのイベント出店は、新たな地域と客層との出会いが生まれ、反響を実感することができます。こうした催事で反響が良かった地域へ正式に出店するケースは非常に多く、テスト販売としても非常に効率的であるといえるでしょう。
一方で「モールの集客力」「イベントで物珍しいから売れた」というパターンもあり、いざその地域に単独出店したら想定より客数が少なかったため早期撤退するケースもあります。
2.キッチンカーでの出店
手軽にいろいろな料理を楽しめると評判のキッチンカー。屋台よりも断然おしゃれで、Instagramでも多く見られるなど人気のある業態です。イベント会場に車を走らせ様々な場所で営業でき、現場での設営も容易で、一定の調理もできることから、モールや百貨店などでのイベント出店よりも手軽で調理の制限もなくテスト販売にも好適です。
デメリットとしてはレンタルもあるとはいえキッチンカー本体のコストが発生すること。またキッチンカーにはタンク容量によって調理できる内容が制限されたり、出店地域毎に保健所の申請が必要など思わぬ手間もあります。
3.シェアキッチンの利用
最後に挙げるのが「シェアキッチン」です。個人の利用が多いレンタルキッチンとは異なり、基本的にシェアキッチンは本格的な調理機材を揃え、保健所への各種営業許可も取得していることが多くあります。そのため場所さえ借りてしまえばすぐに営業できるのです。中には飲食スペースも備えていたり、Uberなどのフードデリバリーサービスとも契約している物件も。
日数・曜日・時間帯などで契約可能なので、支店出店に必要となる改装費や家賃といった負担を大きく抑えることができます。またイベント出店やキッチンカーなどと比べてイベント自体の集客力に左右されず地域の実際の客数・客層を肌で感じることができます。
デメリットとしては他の利用者と曜日・時間帯を調整する必要があること、店舗の看板などは大きく掲げられないことが多いなど、です。人であってもシェアキッチンのサービスを利用することで、すぐに販売を行うことが可能となります。
販売可能なシェアキッチンを調べる
自分の住んでいる地域の近くにシェアキッチンがないか、探すのに便利なのが「sharekitchen.net」です。
「sharekitchen.net」では、飲食の営業許可や菓子・惣菜製造・販売許可などの条件を確認してシェアキッチンやレンタルキッチンを調べることができます。
↑クリックすると、それぞれの条件にあったサービス・物件が確認できます
シェアキッチンでまずはテスト販売をしよう
コロナやウクライナ情勢で様々なコストが上昇し厳しい環境の中での支店出店も、シェアキッチン/レンタルキッチンという便利なサービスを使うことでコストを大きく抑え、リスクヘッジして挑戦できることをお分かりいただけたのではないでしょうか。
これまではハードルが高いと諦めていた方も、ぜひシェアキッチン・レンタルキッチンのサービスを利用してこれまでとは違った地域・客層の方に自慢の料理を召し上がってもらいましょう。
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