移動販売の車の前で営業許可の準備をする人

移動販売の許可の種類と取り方|キッチンカー・パン・弁当で違う【2026年版】

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  • 2026/10/20

最終更新:2026年10月

移動販売に必要な手続きは「売り方」で決まります。車の中で調理するキッチンカーは自動車の営業許可、要冷蔵の弁当などを仕入れて売るなら営業届出、常温で傷まない包装食品だけなら届出も要りません。どの場合も、売る商品は許可のある施設で作ります。

  • キッチンカーやパン・弁当の移動販売を始めたいが、どの許可が要るのか分からない
  • 許可を取る流れ、必要な書類、手数料を知りたい
  • 仕込みや製造をする場所をどう用意すればいいか知りたい

この記事では、移動販売の手続きの3つのパターン、品目別(キッチンカー・パン・弁当・飲み物・野菜など)の目安、キッチンカーの許可の取り方、仕込み・製造に使える施設、営業できる区域を、法令(e-Gov)と自治体の公式情報で確認しながらまとめました。開業の手順全体(車両の準備・資金など)はキッチンカー開業の始め方|許可・車両基準・仕込み場所までで解説しています。

この記事の結論

  • 車の中で調理・加工して売るなら、車1台ごとに営業許可(飲食店営業など)が必要です
  • 容器包装に入った食品を仕入れて売る場合、要冷蔵のものは営業届出、冷蔵しなくても傷むおそれのないものは届出も不要です(食品衛生法施行令 第35条の2)
  • パンやお菓子、弁当を自分で作って売るなら、車とは別に作る場所の許可(パン・お菓子は菓子製造業など)が要ります。自宅の台所では作れません
  • キッチンカーは給水タンクの容量(約40L・80L・200L)で、できる調理の範囲が変わります
  • 許可で営業できる区域は自治体で違います。茨城県内一円、大阪府・和歌山県全域、兵庫県全域のように広がった地域もあります

仕込みや製造に使うキッチンを探している方へ:sharekitchen.netでは、商品を作って販売したい人向けのキッチンや、1日から借りられるキッチン、東京・大阪のシェアキッチンを探せます。施設ページの「問い合わせ」から、営業許可の種類や仕込みでの使い方を直接確認できます。

移動販売に必要な手続きは「売り方」で3つに分かれる

食品衛生法では、食品の営業は許可が要る営業(第55条)、届出が要る営業(第57条)、どちらも要らない営業に分かれます。移動販売もこの区分のどれに当たるかで、手続きが決まります。

移動販売の手続きは売り方で3つ:車内で調理するキッチンカーは営業許可、要冷蔵の包装品を仕入れて売るなら営業届出、常温の包装品は届出も不要
売り方 例 車での手続き
車の中で調理・加工して売る キッチンカーのクレープ・コーヒー・揚げ物 営業許可(飲食店営業など・車1台ごと)
包装済みの要冷蔵食品を仕入れて売る 容器に入った弁当・惣菜など 営業届出
常温で傷まない包装食品を売る 冷蔵しなくても傷むおそれのない包装食品 許可も届出も不要

出典:食品衛生法 第55条・第57条/食品衛生法施行令 第35条・第35条の2(e-Gov法令検索)/港区「自動車で食品を提供される方へ」

図のとおり、車の中で調理するかどうかと、売る食品を冷やす必要があるかどうかで、必要な手続きが変わります。

「届出も不要」になる範囲

食品衛生法施行令 第35条の2では、届出が要らない営業として「容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品…のうち、冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれがないものの販売をする営業」を挙げています。ある商品がこれに当たるかどうかは、中身や包装の状態で変わるので、迷ったら営業する地域の保健所に確認しましょう。

港区は、容器包装に入った食品を仕入れて車で販売する場合や、野菜などを販売する場合に、営業を行う場所を管轄する保健所への営業届出が必要だと案内しています。届出でも、食品衛生責任者の資格を示す書類の提出を求められます。食品衛生責任者の取り方は食品衛生責任者の取り方|講習は1日6時間・費用と申込みの流れで解説しています。

品目別に見る:キッチンカー・パン・弁当・飲み物・野菜

移動販売の車の棚に並んだ包装済みのパンと弁当
※イメージ画像

移動販売では、①車で売るための手続きと、②商品を作るための許可を分けて考えると整理しやすくなります。自分で作った商品を売るなら、②の許可を取った施設で作る必要があります。

品目・売り方 ①車で売る手続きの目安 ②作る場所
キッチンカーで調理(クレープ・揚げ物・軽食) 営業許可(飲食店営業・自動車) 仕込みは許可のある施設で
コーヒーなどの飲み物をその場でつくる 営業許可(飲食店営業・自動車) 車内(給水タンクの容量に合う範囲)
パン・焼き菓子を包装して売る 常温で傷まなければ届出不要、要冷蔵なら届出(保健所で確認) 菓子製造業の許可がある施設(パンも菓子製造業に含まれる)
弁当・惣菜を包装して売る 営業届出(要冷蔵の包装食品として) 飲食店営業・そうざい製造業などの許可がある施設
野菜などを売る 営業届出(港区の案内) —
鮮魚介類を売る 営業許可(飲食店営業に付帯、または魚介類販売業) —

出典:食品衛生法施行令 第35条(菓子製造業はパンを含む・そうざい製造業)・第35条の2/港区/板橋区(要綱・PDF)/長野県。扱いは自治体で違うことがあるため、営業する地域の保健所で確認してください。

パンやお菓子を移動販売するとき

食品衛生法施行令では、菓子製造業を「菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業」としています。パンや焼き菓子を自分で作って売るなら、まず菓子製造業の許可がある施設で作ることが出発点です。そのうえで、車で売るときの手続き(届出が要るか、要らないか)を保健所に確認します。お菓子の販売に必要な許可はレンタルキッチンで作ったお菓子はネットやフリマで販売してOK?必要な許可と注意点で詳しく解説しています。

弁当を移動販売するとき

弁当は傷みやすく、温度管理が要る食品です。仕入れた包装済みの弁当を車で売る場合は営業届出が目安になり、弁当を自分で作るなら飲食店営業やそうざい製造業の許可がある施設で作ります。弁当屋としての開業は弁当屋の開業に必要な資格と許可|自宅NG・シェアキッチンで始めるで解説しています。

キッチンカーの許可:タンクの容量でできる調理が変わる

キッチンカーの車内にある手洗い用シンクと給水タンク
※イメージ画像

車の中で調理するキッチンカーは、法令で給水・排水タンクの容量の目安が決まっていて、容量が大きいほど複雑な調理ができます。長野県は、飲食店営業の自動車について次のように区分しています。

給水・排水タンク できる調理の目安 条件
約40L 温める・揚げる・盛り付けなど簡易な調理で、単一品目 使い捨て食器・生もの不可
約80L 大量の水を使わない2工程程度までの調理、または複数品目 使い捨て食器・生もの不可
約200L 大量の水を使う調理や、複数工程の調理 生もの不可

出典:長野県「食品移動営業車(自動車)の営業許可について」(2026年4月22日更新)/食品衛生法施行規則 別表第二十(e-Gov法令検索)。給水タンクと排水タンクはそれぞれこの容量が必要です。

横浜市西区も「タンク容量や仕込み場所の有無により取り扱える食品、調理工程が異なります」と案内しています。出したいメニューを先に決めてから、必要なタンク容量の車を選ぶ順番にしましょう。

キッチンカーの営業許可の取り方(流れ・書類・手数料)

キッチンカーの許可は、車を買う・改造する前の事前相談から始めます。世田谷区は、事前相談→申請(営業開始の10〜14日前が目安)→営業車を持ち込んでの確認検査→許可書と標識の交付、という流れを案内しています。

キッチンカー(移動販売車)の営業許可を取るまでの流れ:事前相談・申請・車の検査・許可書と標識
  1. 事前相談:車の図面などを持って保健所に相談します。調理・販売する品目もここで確認されます(世田谷区)
  2. 申請:申請書、施設の構造・設備を示す図面、営業の大要などを出します。営業開始の10〜14日前が目安です(世田谷区)
  3. 確認検査:営業車を保健所に持ち込んで検査を受けます。世田谷区では検査希望日の3日前までの予約が要り、給水タンクと発電機も持参します
  4. 許可書・標識の交付:営業許可書は携帯し、標識は車の見やすい所に付けます(世田谷区)

板橋区の要綱では、営業車1台ごとに許可が必要で、業種は「飲食店営業(自動車)」と「食肉処理業(自動車)」とされています。2台目を増やすときは、その車でも許可を取ります。

申請に必要な書類の例

横浜市西区が案内している書類は次のとおりです(窓口申請の場合)。

  • 食品営業許可申請書
  • 施設の構造及び設備を示す図面と、設備の概要
  • 業務計画書(取り扱う食品を書く)
  • 営業者の確認書類(個人は住所・氏名・生年月日が分かる公的書類)
  • 食品衛生責任者の資格を証明する書類
  • 自動車検査証
  • 仕込み場所などがある場合は、その施設の営業許可証の写し

厚生労働省の「食品衛生申請等システム」でオンライン申請もできますが、横浜市西区は、その場合も同じ書類の添付が必要だとしています。

手数料の例

自治体 飲食店営業(自動車) 食肉処理業(自動車)
世田谷区 18,300円(現金のみ) 25,200円
港区 16,000円 21,000円

2026年10月時点。出典:世田谷区「自動車による食品関係の営業許可申請」(2026年9月30日更新)/港区「自動車で食品を提供される方へ」(2026年5月15日更新)。同じ東京都内でも区によって金額が違うため、申請する保健所のページで確認してください。

許可の有効期間も自治体で決まります。たとえば長野県は一律5年としています。

仕込み・製造は許可のある施設で(シェアキッチンも使える)

シェアキッチンで仕込んだ食材を保冷ボックスに詰めて車に積む準備
※イメージ画像

キッチンカーで出すメニューの仕込みや、移動販売するパン・弁当の製造は、営業許可を受けた施設で行います。横浜市西区は「営業許可のない施設で仕込み等を行うことはできません」と明記していて、港区も仕込場所の営業許可書の写しの提出を求めています。自宅の台所が使えない理由と、仕込み場所の4つの選択肢はキッチンカーの仕込み場所はどこ?自宅NGの理由と4つの選択肢で詳しく解説しています。

自分で設備を持たずに始めるなら、営業許可を取れる区画があるシェアキッチンやレンタルキッチンを仕込み・製造の場所にする方法があります。契約の前に、次の点を施設に確認しておきましょう。

  • 仕込み場所として保健所に出す「営業許可証の写し」を出してもらえるか
  • 取れる(または施設が持っている)許可の種類:飲食店営業・菓子製造業・そうざい製造業など
  • 車を停めて積み込みができるか(駐車場・搬入の時間)
  • 早朝など、出店前の時間に使えるか

仕込み・製造に使える掲載施設の例

sharekitchen.netの掲載施設から、キッチンカーの仕込みや製造販売に関係する記載があるものを紹介します(2026年10月19日に施設ページで確認。料金・条件は変わることがあるため、施設ページと問い合わせで確認してください)。

施設 エリア 施設ページに書かれていること
8K 稲城長沼/SHARE DEPARTMENT 東京都稲城市 菓子製造業・飲食店営業・惣菜製造業の許可を取得可能。キッチンカーなどの仕込みに使えるプランと、キッチンカーなどを出店できるガレージ区画あり。レギュラー月30,000円(税込33,000円・30時間込み)、ナイト月12,000円(税込13,200円・20:00〜8:00の8時間込み)、別途共益費20%
パンとお菓子のシェアキッチンuni 東京都杉並区 パン製造21,000円〜/月、菓子製造18,000円〜/月。7時〜23時を3時間枠で予約。駐車場なし
メゾンブルトンヌ 東京都江戸川区 キッチン前に1台駐車可(事前相談・別料金)。7:00〜22:30。業務用冷蔵庫3台・冷凍庫2台、2槽シンク。5,500円/1時間
株式会社KitchenBANK 大阪市北区 搬入出(10分以内)は隣接駐車場を無料で利用可。ショックフリーザー・真空器・コンベクションオーブンなど。2,000円〜/1時間・最低3時間〜
堺の菓子製造レンタルキッチン bunka kitchen 堺市堺区 菓子製造向けのレンタルキッチン。4時間3,000円・延長1時間300円。7:00〜21:00。荷物の積み下ろしは建物前に停車可

8K 稲城長沼のようにキッチンカーの仕込み用プランを用意している施設もあれば、uniのようにパン・菓子の製造に向けた月額プランの施設もあります。営業許可の名義や写しの扱いは施設ごとに違うため、問い合わせで確認してください。このほかの施設は商品を販売したい人向けのキッチン一覧から探せます。

許可で営業できる区域と、売る場所の確保

キッチンカーの許可は、原則として許可を出した自治体の範囲で使います。ただし、自治体どうしで基準をそろえて、ひとつの許可で広い範囲を回れるようにした地域もあります。

移動販売車の営業許可が広い範囲で使える地域の例:茨城県内一円、大阪府・和歌山県全域、兵庫県全域
地域 営業できる範囲 条件
茨城県 県内一円 茨城県の許可(有効期間5年)
大阪府・和歌山県 両府県の全域 2025年(令和7年)6月1日以降に関西広域連合の基準で許可を取得、または変更届をした自動車
兵庫県 県内全域 2025年6月1日以降、いずれの保健所の許可でも

出典:茨城県「食品移動営業許可(いわゆるキッチンカーの許可)について」(PDF)/大阪府「自動車による営業の取扱い」/神戸市 記者資料(2025年3月24日)

このように、茨城県・大阪府と和歌山県・兵庫県では、1つの許可で県(府)の全域を回れます。ほかの地域で、許可を取った自治体の外でも営業したいときは、許可を出した保健所と営業先の保健所に確認しましょう。なお板橋区の要綱では、仕込場所・事務所・保管場所・住所・主な営業地のいずれかが区内にある人に許可を出すとしています。

売る場所は別に確保する

営業許可は「車で食品を扱ってよい」という許可で、売る場所を使う許可ではありません。私有地やイベント会場で出店するなら、土地の持ち主や主催者との取り決めが必要です。道路で販売する場合は、警察の道路使用許可が関わります。警視庁は、場所を移動しないで道路に露店・屋台などを出す場合を道路使用許可の対象とし、原則として慣習上出店してきた場所に限るとしています。申請先は、その道路を管轄する警察署です。

お酒を売るとき

お酒を扱う場合は、食品衛生の手続きとは別に酒税法の扱いを確認します。国税庁によると、祭りの会場でビールをコップに注いでその場で飲んでもらう提供は販売業免許が不要ですが、未開封の缶やびんを売る場合は免許が必要です。催し物の会場で臨時に売るときは「期限付酒類小売業免許」の制度があり、申請先は税務署です。

この記事で参照した公的資料

確認日:2026年10月19日

よくある質問

移動販売に営業許可は必ず要りますか?

売り方によります。車の中で調理・加工して売るなら営業許可が要ります。容器包装に入った要冷蔵の食品を仕入れて売るなら営業届出、冷蔵しなくても傷むおそれのない包装食品だけなら許可も届出も要りません(食品衛生法施行令 第35条の2)。どれに当たるかは保健所で確認してください。

自宅で作ったパンやお菓子を移動販売できますか?

許可のない自宅の台所で作ったものは売れません。パンや焼き菓子は菓子製造業(パンを含む)の許可がある施設で作ります。自宅とは別に許可を取った施設を用意するか、菓子製造業の許可を取れるシェアキッチン・レンタルキッチンを使う方法があります。

弁当の移動販売にはどんな手続きが要りますか?

弁当を自分で作るなら、飲食店営業やそうざい製造業などの許可がある施設で作ります。作った弁当を包装して車で売る場合は営業届出が目安ですが、扱いは自治体で違うことがあるため、営業する地域の保健所に確認しましょう。

キッチンカーの営業許可の手数料はいくらですか?

自治体で違います。飲食店営業(自動車)は、世田谷区で18,300円、港区で16,000円です(2026年10月時点)。申請する保健所のページで確認してください。

キッチンカーの許可は、ほかの市や県でも使えますか?

原則は許可を出した自治体の範囲です。茨城県(県内一円)、大阪府・和歌山県(両府県の全域)、兵庫県(県内全域)のように、ひとつの許可で広い範囲を回れる地域もあります。ほかの地域は、許可を出した保健所と営業先の保健所に確認してください。

まとめ

許可を取って移動販売の営業を始める様子
※イメージ画像
  • 移動販売の手続きは売り方で決まる:車内で調理=営業許可、要冷蔵の包装食品を仕入れて売る=営業届出、常温で傷まない包装食品=不要
  • 自分で作った商品を売るなら、車とは別に作る場所の許可が要る(パン・お菓子は菓子製造業、弁当は飲食店営業・そうざい製造業など)
  • キッチンカーは給水タンクの容量でできる調理が変わる。メニューを決めてから車を選ぶ
  • 許可は事前相談→申請→車の検査→許可書・標識の順。手数料は自治体で違う
  • 仕込み・製造は許可のある施設で。シェアキッチンを使うなら、許可証の写し・許可の種類・駐車と搬入・使える時間を確認する

売り方が決まったら、次は仕込み・製造をする場所選びです。施設ページの「問い合わせ」から、営業許可の種類や仕込みでの使い方を相談してみましょう。シェアキッチンでの営業許可の考え方はシェアキッチンの営業許可とは?取り方・必要書類・注意点もあわせてご覧ください。

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